ファッションナレッジ:シングルテーラードジャケット

このファッションナレッジシリーズの記事では、主にスーツなどの、成り立ちやコーディネイトのルールがある服の、歴史やディテールについて取り上げていきます。

第1回目は、スーツからカジュアルまで、男性に馴染みの深い「シングルテーラードジャケット」、いわゆる「背広」についてです。

カラー(上襟) fashion_knowledge_series_single_breasted_jacket_001 ゴージライン
ラペル(下襟) フラワーホール
チェストポケット フロントダーツ
ウエストポケット
フロントカット 袖ボタン

フィッティングの大原則

ジャケット(スーツ)のフィッティングは好みで決めると、バランスが崩れ野暮ったくなってしまいます。ジャストフィットを目指しましょう。

①肩幅
まずは肩幅があっていなければフィットしません。調整のきかない部分なので、しっかり確認しましょう。
②胸囲
胸囲も、サイズの基準となる大事な寸法です、44など欧米サイズ表記は、胸囲の実寸法の半分(投影した時の型紙の幅)を表しています。
③胴囲
だいたいお腹の部分に拳を入れてみてぎりぎり入るくらいがジャストフィットです。
④着丈
スーツの場合、総丈(地面~バックネックポイント(後ろからみたときの上襟の下のライン))の半分が基本です。ジャケパンの場合など、カジュアルよりの場合は少し短め(~-2,3cm)にすることですっきりしたイメージになります。
⑤袖丈
親指の先から、11~12cmがドレスシャツがちょうどよく見える寸法です。長すぎても短すぎてもかっこ悪くなります。(もちろんシャツも合わせておく必要があります。)

特に肩幅と袖丈は必ず体に合ったものを選びましょう。日本はデパート等、オーダーでも大きく作る傾向があり、袖丈が親指の先から9cmと言う独自基準があったりするので注意が必要です。

ディテールのバリエーション

フロントボタン
ボタンの数にバリエーションがあります。主には以下の3パターンになります。
two_button three_button_roll_down three_button
2ボタン 3ボタン段返り 3ボタン

2ボタンは上のみ、3ボタンの場合は真ん中のみボタンを止めます。bの第1~2(~3)ボタンの間はだいたい10.5cmで決まっています。あとは全体的に上の方に来るか下の方に来るかで、Vゾーン、フロントカットのバランスが変わります。

ショルダー
肩のシェイプのバリエーションです。
natural_shoulder roped_shoulder square_shoulder
ナチュラルショルダー ロープドショルダー スクエアショルダー

ロープドショルダーは肩の縫い目のラインが少し盛り上がった形です。スクエアショルダーはパッドがしっかりしていて張っています。近年は薄く、ナチュラルなものがトレンドのようです。

ラペル
折り返した、下襟の部分のことです。この幅により印象が変わります。aの寸法がラペル幅になり、通常は8~8.5cmです。
peaked_lapel fish_mouth_lapel shawl_lapel
ピークドラペル フィッシュマウスラペル ショールラペル(ショールカラー)

普通のタイプはノッチドラペルといいます。ピークドラペルはダブルブレストのジャケットで使われますが、シングルでも用いられるデザイン(ビジネスでは不向き)です。ショールカラーはタキシードで用いられる形ですね。

ゴージライン
上襟(カラー)と下襟(ラペル)の繋ぎ目の部分です。ラペル幅とともに高さ(位置)と角度によって、印象が変わります。
ウエストポケット

基本はパイピング(縁取り)がされているものがドレッシー(フォーマル)なデザインになります。さらに、たいていフラップ(蓋)がついてます。

slant_pocket patch_pocket change_pocket
スラントポケット パッチポケット チェンジポケット

スラントポケットは、文字通り斜めにしたもので、スーツの原型となる乗馬用のコートはスラントポケットです。パッチポケットはカジュアルなジャケットなどで見られる外付けのデザインです。チェンジポケットは右側のポケットの上に追加された小さなポケットのことで、小銭を入れていた名残からそう呼ばれています。

フロントダーツ
ウエストを絞って立体的なシルエットにするための縫いこみです
ベント
後ろの切れ込みの部分です。シングルジャケットはもともと乗馬用のコートが原型で、乗馬中に身頃が流れるように付けられたのが起源です。
center_vent side_vent
センターベント サイドベント

シングルはセンターベント、ダブルはサイドベントが基本ですが、シングルとサイドベントの組み合わせも有ります。タキシードの場合は、スリットのないノーベントと決まっています。

フロントカット
前裾の形にもバリエーションがあります。
round_cut square_cut
ラウンドカット スクエアカット

標準よりも、深く丸くカットしたものがラウンドカットで、角のあるものはスクエアカットと呼ばれます。端までバッサリ深くカットするとカッタウェイと呼ばれ、モーニングコートの形となります。

他にも細かなディテールがいろいろ有りますが、知識を知るとお店でより自分にあったものが選べるので、参考にしてみてください!

いいねとおもったらシェア!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です